お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
上村さんは、ぽかーんと雉名さんの背中を目で追いかけながらつぶやく。

「やっぱり、雉名さんは立花さんのことが好きなんですかねぇ?」

「それはないよ。うん」

「羨ましいなぁ立花さん……私も雉名さんにかまってもらいたい……」

予想以上に直接的な台詞がとんできて、私はぎょっと上村さんを見た。

彼女の瞳が恋する乙女モードであることに、今このとき初めて気がついた。

「……上村さん? ところでどうして雉名さんなの?」

「だって格好いいじゃないですか。ワイルドなところとか、気取らない感じとか」

「……結構な年の差だけど、いいの?」

「七つって、年の差っていいます?」

「ええーっと……」

え、いや、そんなことは、と狼狽えながら手をパタパタと横に振る。

主観の問題だけれど……まぁ、二十歳と十三歳じゃ犯罪になってしまうが、三十歳と二十三歳ならなんら問題はないだろう。

けれど、上村さん自身も年の差については引っかかっていたらしく、しょんぼりとうつむいた。
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