お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
まず四十五分かけて一件目のクライアントへ。

無事書類を手渡したあと、逆方面へ戻るような形で次の目的地に向けて電車に乗った。

到着する頃には、すでに六時近くになっていて、金曜日のこの時間、駅は帰宅の人の群れで溢れかえっていた。

大通りを歩けば、これから飲みに行くのだろうか、陽気な大学生やサラリーマンたちが列をなして歩いている。

人混みをすり抜けて、指定されたオフィスビルに辿り着くと、もらったメモを握りしめて電話をかけた。

「お疲れ様です、立花です。頼まれた書類を持ってきたのですが……」

すると、受話口から響いてくる穏やかな声。

『穂積です。わざわざありがとう。すぐに向かうから、エントランスの待合スペースで待っててもらえる?』

彼の指示に従ってビルの正面玄関に足を踏み入れると、奥にはエレベーターが六台、その手前に受付カウンター、そして左端にはテーブルとチェアが数対置かれていた。

ここで待っていてほしいってことかな?
< 25 / 294 >

この作品をシェア

pagetop