お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
総務に辿り着いた途端、雉名さんの姿を見つけた上村さんが、わっと驚いたような顔をした。

「雉名さん、運んでくれたんですか!?」

「なんだ、ふたりしてそのリアクションは。俺が人助けするのがそんなに珍しいか?」

段ボールを総務部の脇に置くと、私の肩に手を置き、呆れたようにため息を漏らした。

「体力仕事くらい、その辺の男どもに頼めよ。二度と椅子の上で背伸びはするなよ。危なっかしいから」

彼は念を押すように私の頭をポンと叩き、行ってしまった。

予期せずドキリと鼓動が跳ねて、なんだか甘酸っぱい記憶が蘇る。

昔、穂積さんにもこんなことされたっけ……。

その様子を見ていた上村さんが、ポカンと口を開けた。

「うわー、立花さん、雉名さんにまでなでなでしてもらいましたねー。撫でられキャラですか」

「そんなこと、ないと思うんだけど」

「でも、雉名さんって怖いけど、ちょっと格好いいですよね」

え? と私は目を丸くする。上村さん、そんなことを思っていたの?

ついこの前まで、穂積さん穂積さんって言ってたのに。
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