180センチ以下は認めない
「おはようございます。斎藤さんのお薬を持って来ましたー。」

「お疲れさまでーす。斎藤さん、痛みが強いみたいなんです。先生が新しい痛み止めだしてくださったので説明して、渡してもらえますか?」
斎藤さんの担当ナースが言う。

「はーい。行ってきます。」


「おはようございます、斎藤さん。薬剤師の加藤です。新しいお薬持って来ました。痛みの方はどうですか?」

「おはよ。綾ちゃんかー。それがさー痛くて、眠れなかったんだよー。」

斎藤さんは、50代の男性。咽頭ガンだ。入院してすぐから、いろいろな話をしてくれて、患者さんというよりは近所の優しいおじさんなんだけど、今日は痛みと寝不足で、辛そうな顔をしている。

「新しい痛み止めです。吐き気が出たりするかもしれないので、吐き気止めも一緒に入ってます。」

「ありがとう。効くといいんだけどね。」

「効きますよ。私が作ってきたんだもん!」

「そだね。綾ちゃんが作ってくれたんだから、効くに決まってるね。」

「そうそう。効くよ。飲んでみて。また、効いたか聞きに来るよ。」

「了解。ありがとね。」

私は、病室からナースステーションにもどる。
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