迷惑なんて思ってないよ
九章・縮まった登校日

大丈夫?

凛太郎くんと慶太郎くんの制服に付いているボタンが全部無くなっていた。色んな所から手が伸びてきて、脱け出した頃にはズボンのボタンまで無くなっていたらしい。
私のボタンは全て無事だけど、最後だからと虐めてきていた女子が謝ってくれたり男子から実は好きだったんだと言われたり。でも、ありがとうとだけ言って告白は全て断った。凛太郎くんと慶太郎くんが友達だから当たり前かと肩を落としていく人がほとんどだったけれど、決して二人のせいじゃない。晴人とも仲良くしてくれそうな人がいなかったからだ。恋人同士になって見なきゃ分からないのは分かっているけど、私の軽率な考えで晴人に辛い思いをさせるわけにはいかないから。
と言うのは高校の卒業式の話。今日は凛太郎くんと慶太郎くんが進んだ大学の初登校日。帰りに祖父母の店に寄ってくれると言っていたけれど、少し心配だった。
< 161 / 260 >

この作品をシェア

pagetop