迷惑なんて思ってないよ
二人が生きているから家族が全員生きているとは限らないし、朝会った時も断られると思ってたし。だって結華お姉ちゃんが亡くなっていたらバカにしているようにしか聞こえないじゃん。会いたいのはこっちだって怒られかねないじゃん。

「あのー、ここって・・・」

「俺の家。手当てしてから会って」

私の靴も脱がせてから家に入っていったハルくんは私を長椅子に座らせた。持ってきた救急箱には平仮名で救急箱と書かれていた。幼い頃の落書きに似た何かなんだろうな。きっと油性で書かれたせいで落ちなかったんだ。
微笑ましくて笑う私を照れてはいるけど責めないハルくん。言い方が変わっただけで優しいハルくんのままだったんだと安心した瞬間だった。
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