迷惑なんて思ってないよ
三章・複雑な修学旅行

苦手なんだ

俺は海も嫌いだ。水着になれば許可していないのに写真を撮られるから。裸同然の男を見て何が楽しいんだよ。写真を撮る時の光に驚いて溺れ掛けた事もあったし、正直水が怖い。生活に支障が無い程度にだけど。

「柏崎さんも入らないの?」

「海が・・・怖いんです・・・」

「俺と一緒だ」

たぶん、柏崎さんの表情から察するに俺とは違う理由なんだと思う。だって俺は海を見る事が出来るけれど、柏崎さんは俯いたまま、今にも泣きそうな表情で砂を触っていたんだ。
俺の言葉で笑ってくれたけれど、いつもの作り笑顔のまま。せめて、気でも紛らわす事が出来れば少しは心も和らぐだろうか。
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