迷惑なんて思ってないよ
俺が知らなかっただけで彼女への虐めはもう始まっていたんだ。じゃあ彼女は俺を巻き込まないために遠ざけていたんだ。修学旅行の花火の件で嫌われた訳じゃなかったのか。だから修学旅行三日目はちゃんと手を振り返してくれたんだ。

「あまり感心しないな。せっかく可愛い顔をしているんだ。もっと違う事をしないとね」

黄色い声が響き渡った。俺の本心とは違って、周りは俺の言いたくない口調の方が言う事を聞いてくれる。
本当は何やってんだって怒鳴りたかった。彼女が話し掛けてきている訳じゃない、俺が話しかけているんだ。文句や嫌がらせなら俺にしてくれって。でも、そう言えばもっと彼女への風当たりが強くなる。もっと酷い虐めに発展してしまうかもしれない。
静かに、何も知らないかのように。まるで他人事のように話すしか無いんだ。この言葉が吉と出るか凶と出るか。
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