迷惑なんて思ってないよ
気持ち悪いと言ってそれこそ俺を嫌うだろうか。それとも、迷惑はかけたくないから他を当たってくれと言うのだろうか。

「分かった。じゃあこれでもう終わりにするよ。話し掛けないし、迷惑もかけない。戻ろう」

「もう少し・・・、ここにいます・・・」

「分かった」

怒った訳じゃない。絶望した訳じゃない。諦めた訳じゃない。
ただ、今じゃないって思ったんだ。今、彼女に何を言っても謝罪の言葉しか来ない。俺の質問に答えるだけの余裕が無いんだって。母が亡くなった時の俺のように、理事長と暮らし始めた時の俺のように一人で頭の中を整理する時間が必要なんだって。
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