迷惑なんて思ってないよ

無力だなぁ

彼女の泣いた顔が頭から離れなかった。彼女の心が本気で動いた所を初めて見たから。
その日、話し掛けれる言葉はなかった。暗くなりすぎてそのまま乗ってきたバスに寝る事になったけれど、何をどう聞いて良いのか分からなくてただそばで話し掛けられるのを待つしかなかった。

「良かったら食べて。人数分あるから」

「ありがとうございます」

「あざっす」

行く前までは騒がしかった慶太郎も、深入りしてはいけない話だと察してくれたのか静かにしてくれている。
津田とかいう男は俺たちにご飯になるような食べ物をくれてから彼女のそばから離れない。本当は俺がそばにいたかったのに。
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