天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
ピンポーン

「はーい」
インターフォンの向こうから聞き慣れた声。

「ごめん、爽子だけど。今晩泊めてくれる?」

「はあぁ?家で喧嘩でもしたの?」
機械越しでも呆れているのがわかる。

「違う」
そうじゃない。
でも、ここで言う話でもない。

「家には言ってきたでしょうね」
私を巻き込まないでよと、言われている。

「うん。ママに言った」
黙って出かければ大騒ぎになることくらい私だって分かっている。

「どうぞ」
エントランスのドアが開き、私はエレベーターへと向かった。

時刻は午後10時。
いくら友人の家とは言え、お邪魔するには非常識な時間。

でも、私は気にすることなく目指す部屋へと向かった。
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