天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
「お待たせしました。どうぞ」

4階の個室で、4人ほどのスタッフに囲まれて試着。

レース素材のノースリーブのドレス。
派手すぎず、露出しすぎず、上品な感じが気に入って選んだ。

「いかがですか?」
「うん、良いですね。色もすごく好みです」

さわやかなブルーがとっても綺麗。
この色は泰介と選んだんだっけ。

「よくお似合いですよ」
「ありがとう」
でも、
その言葉は泰介から聞きたかった。

もう3週間以上会っていない私の彼。
そのうち彼とも言えなくなるのかもしれない。

もちろん朝晩のメールは来るけれど、簡単な一言しか返せていない。
やはり夏輝さんの事が気になって、距離を置いてしまっている。
さすがに、もうどうしようもない。


「いらっしゃいませ」
部屋の外から声がした。

ん?
ここは仕切られたスペースの中にあるフィッティングルーム。
他のお客さんが入ってくることはないはず。
って事は、ママでも来たんだろうか?
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