天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
川野夏輝(かわのなつき)は大学の同期。
授業で顔を合わせるうちに親しくなった。
いつも明るく男からも女からも人気のある夏輝はなぜか俺のことを好きになってくれ、俺たちはつきあうことになった。

「泰介、ちゃんと食べなさい」
プログラミングを始めると、食べることも忘れる俺のことをいつも心配してくれた。
「待って。今、いいところなんだ」
「ダメよ。ほっといたらいつまでたっても食事しないでしょう」
「もう少し」
「ダメ。電源切るわよ」
「・・・わかった」
こうして、俺はいつも夏輝に負ける。

夏輝がいなかったら、俺は起業なんてできなかったかもしれない。
意気地のない俺の尻を叩き、背中を押して前へ進ませたのは夏輝だ。

一緒に暮らして2年。
ちょうど大学の卒業時期を向かえた俺たち。
俺はこのまま結婚してもいいとさえ思っていた。
夏輝と俺はこれからも一緒にいるんだと信じて疑わなかった。
しかし、
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