天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
それでも、休みがあえば2人で出かけた。

映画館。
水族館。
図書館。

現実の世界では数字だけを追いかけ、どうやって利益を生み出そうかと考えている俺にとって、爽子さんと過ごす穏やかな時間は安らいだ。


迎えた週末、土曜日。

雑誌に載っていたパン屋でクロワッサンとメロンパンを買い込み、店の奥のイートインスペースへ。

「うーん、このパン好き」
美味しそうにメロンパンをほうばる爽子さん。

「クロワッサンもうまいよ」
雑誌で取り上げられるだけのことはある。

夢中で食べ始めた俺に、
「あーぁ」
いきなり声を上げられ、
「ん?」
手が止まった。
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