天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
「その後、怪我は大丈夫なの?」
ママも泰介さんの事を心配してる。

「大丈夫。幸い打ち身程度だったから」
「気を付けないと、後遺症は後から出てくるのよ」
「そんなこと、知ってるわ」
つい強い口調になった。

ママが黙り込む。

小学1年生の春。
元気に学校に向かった私は横断歩道上で車にはねられた。
怪我は右腕の切創。
傷は予想以上に深くて、いくつもの病院に行ってみても、何度か手術を受けても傷跡が綺麗に消えることはなかった。

「ごめんなさいね」
ママが涙ぐむ。

事故の話題になると、いつもママは泣き出してしまう。
誰の責任でもないのに、罪悪感を感じ続けている。

「ママ、もうやめて。これも私の個性なんだから。泰介さんだって、気にしないって言ってくれたし」
「見せたの?」
驚いているママ。
「ええ」
そんなにびっくりすることかしら。
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