アンバランスな想い
「試験前に悪かったな」
車に乗った瑛ちゃんが言った

「いいよ
私も瑛ちゃんに酷いことばっかり
してから」

「俺がしつこいだけだろ?」

瑛ちゃんが苦笑した

「お袋と上手くいかないからって
スミレとの関係を
性急に求めすぎた

スミレの心を繋ぎ止めておかないと
お袋のせいで
一緒にいる時間が
奪われるような気がして

怖かった」

「私ね
瑛ちゃんに襲われたいかも」

「え?」

「聞き返さないでよ」

「このままホテルに直行していいってこと?」

「それは嫌」

「はあ?」

「キスならいいよ」

「瑛ちゃんが好きよ

…って言えよ」

「まだ言わない」

「何で?」

「う~ん
私がもっと大人になれたら言う」

「なんだそりゃ?」
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