ヴァンパイア†KISS

運命の場所へ

長距離電車に揺られ、気づいたらその場所へとたどり着いていた。

たくさんのヴァンパイアたちがいたというロンドン郊外。

わたしは電車を降り、一歩一歩かみ締めるように歩く。

まだ晴天が続いている空は、やけに高く感じた。

エマとウルフ。

二人の出会いに、言いようもない、運命を感じた。

出会うべくして、出会った二人……。

そして、デュオ………！！

デュオとルシアは………恋人だった！！

この前のあの雰囲気だと、二人はまだ付き合っているはずだ。

頭の奥がぼーっとする。

何も、考えたくない―――！！！

わたしはそのまま地面に座り込むと、顔を両手で覆って泣き始めていた。

｢こんなに……好きなんだ……｣



｢にゃぁ……｣

鳴き声と、足元に擦り寄る温かい気配を感じ、わたしは顔から手を離しその気配を見下ろした。

まだ小さな黒猫が、その首に架けられた十字架をゆらゆらと揺らしわたしを見上げていた。

まるで泣いているわたしを慰めるように……。

｢……エ…イダ？｣

夢の中で見た黒猫とそっくりなこの黒猫をわたしは思わずそう呼んでいた。

まさか……ね。

黒猫はゆっくりとわたしに背を向けて歩き出す。

｢あ……！｣