ヴァンパイア†KISS
だがこの時。

ウルフガングは一つの想いにその胸を高鳴らせていた。

ヴァンパイアの血は、あらゆる生命の中でももっとも濃い血。

永遠に生きることができるほど、その血の代謝は激しく、万能とも言える能力を秘めている。

太古から受け継がれてきたこの血………。

その血の最も濃い場所は………、




「心臓だ………!!」




ウルフガングは、自らのひと差し指を心臓に突き立てると、一気に肌を突き破り押し入れた。

「………ぐっ!!」

突き入れた胸から血が滴り落ちる。

ウルフガングは苦しげに顔を歪ませながら、ゆっくりとその指を抜き取ると自分の舌で舐め取った。

「なんて……濃く気高い味だ……!」





―――そうして、彼は血のくちづけを落とす。







…………ピクリ、と動くまぶた。


「ん……ふう…」という吐く息とともに。



――――少年は、青い瞳を見開くと、




その命をこの世に取り戻した…………。







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