ヴァンパイア†KISS
「母を失ってから、父は荒れてね。手当たり次第に人間の女の血を漁っては、その血を人間の血で汚し続けた。父の力はかなり衰えた。そして、それによって人間の世界ではヴァンパイアの存在が確実に取りざたされている」

「あれだけ用心深かったユーゴが……」

ウルフガングはカルロから上着を受け取りそれを着ると。

ゆっくりと牢の外へ出て、デュオの目の前に歩み出た。

「人間たちは、ヴァンパイア研究施設まで作って私たちを捕らえようとしている。このままでは、父もこのガイアも危険だ。……ヴァンパイアによって捕らわれていたあなたにこんなことを言うのもなんだが、あなたの力は父よりも誰よりも上だと、私は知っている。……私が生まれた数十年前から、ね。ガイアを救えるのは、あなただけだろう」

デュオは艶っぽい唇で笑みを作ると、ウルフガングを隠し通路からの出口に誘導しながら言った。

「それと、なぜそれほどまでに人間の女を愛せるのか。私はその答えを知りたいのだが?」

ウルフガングはそのバイオレットの瞳を誇らしげに輝かせると、



「その答えには、魔法の鍵がかかっていてね。愛する人にしか伝えることはできないんだ……!」



ウルフガングが太陽のような笑みを浮かべ外へと出て行くその傍らで。

「その鍵は、ウルフ様とエマ様しか持っておられないのです」

カルロが楽しげに手を振りながら出て行く。



「あのガキめ……!」

デュオは満足げにバイオレットの瞳を細めると、地下牢を閉め、ガイアの階上へと上がっていった。





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