ヴァンパイア†KISS
カリッ…………!!
どうしてなのか、わからない。
気付くと、わたしは男の唇を噛んでいた。
見なくともわかっていた。
男の切れた唇から、赤い血が滴っていることを……。
その血はわたしの口の中へ流れ込むと、わたしの中に入るのを待っていたかのように甘美な匂いを漂わせながら舌を這い、喉を這ってわたしの体内へと入り込んでいった。
ゴクリ、と喉が鳴る。
わたしは横たわったまま、マスクをつけたままの男の顔を見つめる。
男は唇のキズを甘美な舌でペロリと舐めると、バイオレットの瞳を見開き、わたしを凝視した。
「なぜだ……人間ならヴァンパイアのキスには逆らえない。廃人になるほどの快感に酔いながら、自らその血を差し出すはずだ……」
男はわたしのマスクをゆっくりとはずし、さらに取れかかっていたブロンドのカツラも抜き取った。
「!?」