ヴァンパイア†KISS
かずちゃんはその気迫に押されたようにたたずんだ。

デュオはさらに手首から血を吸い上げると、再びわたしの唇に覆いかぶさりその血を流し込んだ。

ゴクン……!

甘く、体の芯まで潤うような激しくたぎる血がわたしの体を駆け巡る。

苦しかった息が、空気の在りかにたどりついたように平静さを取り戻していった。

血が………熱い!!

わたしは自分の体の中に流れる血の熱さを感じていた。

デュオの血を得て、生き返ったように熱を帯びていくわたしの血。

その瞬間、わたしは大きく目を見開いた。

「カレン…気が付いたか」

デュオはそう言うと、わたしの唇に滴っている血をペロリと舐め取った。

そして、一気にわたしの体を引き寄せきつく抱きしめた。

「デュオ…痛い、よ」

「カレン………よかった……」

デュオの搾り出すような声に、わたしの体中が震えた。

……こんなに、心配してくれているんだ………デュオ……!

「…どういうことなんだ…?ヴァンパイアの血を飲んで回復するなんて…」

かずちゃんが眉を寄せわたしたちに近づいてくる。

デュオはわたしを強く抱きしめたままかずちゃんを振り返った。

「和希。カレンの体には人間とヴァンパイアの血が流れている。その2つの血がバランスをとり続けることは奇跡に近い。カレンの血は今、どちらともなく彷徨っている。時に、わずかでもバランスを崩すと、血の発作が起きる。ほおっておけば死んでいただろう……。氾濫を起こしたわずかな血を沈めるために私のヴァンパイアエナジーを含んだ血を流し込んだ。我々の血はその新陳代謝を高める。血はバランスを取り戻し、しばらくは大丈夫だ。……単なる応急処置に過ぎないが…」

かずちゃんがゴクンと唾を飲み込んだのがわかった。

かずちゃん……あまりのことに、驚いて声を失っているんだ……!





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