ヴァンパイア†KISS
そこで神藤社長がかずちゃんの背後からわたしたちに近づいてきた。

「花恋さんがヴァンパイアだったとは…!しかし、さすがにヴァンパイアの血はその治療薬としての効能も素晴らしい!デュオ、見事に彼女を治療したな」

神藤社長は誇らしげにデュオを見て、かずちゃんの肩を叩いた。

「和希、ヴァンパイアを毛嫌いしているお前だ。花恋さんとの結婚は破談にしても構わない。彼女には命の危険もあるようだし、今はどちらにしてもデュオに任せたほうがいいだろう」

かずちゃんはわたしを見ることもなく、そのまま瞳を伏せた。

デュオはその様子を見ると、立ち上がりながらわたしをお姫様抱っこするように抱き上げた。

「デュオ…!?」

「和希、カレンを愛するなら覚悟が必要だ。人間の命は、儚く脆い。だからこそ、散る瞬間までもが愛しいのだと、私は人間を深く愛したあるヴァンパイアから教えてもらった。……私に、その真似ができるかはわからない。だが…」

デュオは腕の中のわたしを物憂げな瞳で見下ろすと、言った。

「カレンがどんな血を持つことになるとしても、私には彼女を愛する覚悟がある。そういう愛もあるのだと、私はカレンに出会って知った。カレンに何が起ころうと、私は変わらず彼女が愛しい。和希、たとえお前のものになったとしても、だ」

デュオ………!!

かずちゃんはそこではっと顔を上げデュオを凝視した。

デュオはわたしを抱いたままドアへ向かって歩き出す。

そして、かずちゃんを振り返るとバイオレットの瞳を鋭く光らせて言った。

「私に向かってくる覚悟があるなら、カレンを奪い取れ」


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