ヴァンパイア†KISS
古めかしい城の外門をくぐると長い庭が続いていた。

雪の花びらの舞い落ちる中、わたしとデュオは手を繋ぎながらゆっくりとその両端に木の生い茂る庭を歩いていく。

……感じる。

何も音のないしんとしたこの庭でわたしは心の耳を澄ませる。

わたしの中のヴァンパイアの血がかすかに反応していた。

この城内にいる「彼ら」に。

「感じるか?カレン」

デュオは春の風に黒髪をなびかせながら問いかける。

「うん、ヴァンパイアたちのエナジーを」

「いくつ感じる?」

「数は……わからない。でも、30以上は……」

「50だ。あとは何か感じるか?」

「……とても温かいエナジーを感じる……。このヴァンパイアエナジーを持っているのは……デュオ、もしかして!?」

何メートルか先の城門に、その人たちの姿が見える。

とても温かい笑顔をもったもと人間のその二人は、こちらをじっと見つめていた。

「デュオ、二人も呼んだの!?」

「ああ、彼らこそがウルフの救出を最も望んでいる二人だから、ね」

わたしは二人の笑顔に思わず手を振っていた。



「―――エマ!!カルロ………!!!」







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