ヴァンパイア†KISS
「すごい歓声ですね。デュオ、タンゴでも踊ったらどうですか?」

カルロが熱気を楽しむように微笑んだ。

「そうですよ、デュオ様!デュオが踊れば皆、デュオ様にひれ伏します」

ブルースが興奮した様子で目を輝かせた。

デュオは瞳を細めて沈黙する。

そしてわたしを見ると、片手を差し出した。

「行こう、カレン。私たちの部屋がある」

「……デュ…オ?」

デュオの表情はなんとなく、寂しげに見えた。

手をとったわたしを連れて、デュオはそのまま広間を突っ切って歩いていく。

わたしの後ろで、ブルースやカルロがぽかんと見つめていたけれど。

デュオは構うことなく、広間を出て城の2階への階段を上り始めた。

「デュオ、今日は踊りたくないの?」

わたしがそう聞いた瞬間、デュオは階段の手すりを片手で握り締め、片膝をついた。

「………デュオ!!」

「……くっ…」

デュオは苦しげに息を吐き、眉をしかめる。

「デュオ、どうしたの!?」

「なんでも…ない、カレン」

デュオは顔を歪ませながら、微笑む。

「なんでもなくないよ!こんなに苦しそうなのに…!!」

デュオは手すりに掴りながら立ち上がると、再び階段を上り始めた。

……デュオ……。

『今は平気そうにしてても、いずれはわからないわ。ヴァンパイアはね、体にエクスタシーが流れていないと、体力を失っていくの』

ルシアのいつかの言葉が甦る。

………デュオ……!!



< 273 / 411 >

この作品をシェア

pagetop