ヴァンパイア†KISS
倒れているブルースの横に立つと、

ブルースは冷や汗を垂らしながら、苦しげに呻いていた。

「ブルース、解毒剤だ」

デュオが小瓶のフタを開けブルースに近づける。

「く、苦しい…。カ、カレン様、どうか口移しで……!」

わたしのほうに手を伸ばすブルース。

「え!?」

その瞬間、小瓶がブルースの口にムギュっと無理やり詰められ、ブルースは咳き込みながら飛び起きた。

「…ぐっ…ごほっ!デュ、デュオ様!!」

「なんだ、まだ元気じゃないか」

意地悪に牙を突き出して微笑むデュオ。

「ひどいですよ、デュオ様。ちょっとからかっただけなのに~」

「カレンが絡むと洒落にならないんだよ、ブルース。僕も殺されかけたからね」

いつの間にかこちらへ来ていたシエルがデュオの顔を覗き込みながら言う。

「お前達、私の濃厚な毒入キスをお見舞いされたいか?」

「僕は遠慮します」

降参のポーズで微笑むシエル。

「…デュオ様のキス…い、一度体験できるものなら…」

遠慮がちに頬を赤らめて言うブルースを見て呆れた顔で天を仰ぐデュオ。

そこで、倒れた男の息を確かめていたルドルフが口を開いた。

「デュオ様、こいつはしばらく気を失ったままでしょう。とどめを刺しますか?」

「いや、そいつはもと人間だ。そのままにしておけ。女もだ」

サラ……。

きっとあなたをオズワルドの呪縛から解いてあげる。

待っていて、サラ!!

「30分が経過している。先を急ごう」









< 326 / 411 >

この作品をシェア

pagetop