ヴァンパイア†KISS
月はもう完全な満月になっていた。

ちらりと窓に映った自分の影に違和感を覚える。

「?」

近づいて、窓にそっと触れ自分の姿を映した。

「……金髪…!」

金糸の髪にバイオレットの瞳。

金髪……は、エマとシエルと同じ。

……これは満月の夜にパワーを増すバイオレット・ムーンの力なの…?

そっと自分の金糸の髪に触れサラサラと流れるそれを見つめた。

バイオレットの瞳は、わたしが完全なヴァンパイアになったしるし。

金糸の髪は、シエルがわたしに与えてくれた奇跡の力。

トクンと高鳴った心臓をそっと押さえながら、愛しい人を振り返る。

デュオ……。

彼は全ての運命から解き放たれたかのように安らかな顔で眠っていた。

デュオ、目覚めれば、ユーゴとの戦いやつらい現実が待っているかもしれない。

でも、それでもあなたは「目覚めたい」と言ってくれるだろう。

わたしを護るために。

わたしを「愛している」と言うために。

デュオ、今ならあなたに伝えることができる。

わたしは、100年間、あなたに出会うためにエヴァからの命を繋いできた。

わたしは、あなたに会うために生まれ変わった。

デュオ…………わたしの生きる意味は、


――――――あなただけ…………!!!


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