ヴァンパイア†KISS
サラがキス魔だってことをうっかり忘れていた自分になぜ?と自問自答しながらも、サラのいつもの勢いに抗うことも逆らうこともできずに、わたしは再びベンツに乗せられていた。

「サァ~ラ、いったいどこに連れてく気よぉ」

「いいからぁ!わたしに任せなさい!」

そ、それが怖いんだってば…。

サラはさも嬉しそうにウインクすると、ベンツのドアについている何やら意味ありげなスイッチをポンっと威勢よく押した。

な、なにごと!?

するとわたし達が座っている後部座席の真ん中の座席の一部がパカっと音を立てて開き、中からテレビのモニターのようなものがずんずんと沸いてでてきた。

「カレンには特別にお見せするわ。これが、わたしのキスの変遷の全てよ!」

なんだか得意げなサラが指し示したモニターには。

碁盤の目のように男性の顔写真がズラリと並んでいた。

「サ、サラ……これってもしかして……?」

まさかとは思うけど……。

「3つの時のファーストキスの相手がこれね。んでもってこっちが7才の時にわたしのキスの快感をことごとく奪い去ったへたれなクラスメート。こっちは15才の時にわたしのモデル写真を撮っていたカメラマンで写真のテクニックはもっさいけど、キスのテクニックが最高にいかしてたわ。で、こっちの…」

「あ~!もうわかった!ストップゥ~!!」

黙っていたらここに載っている100名はいるだろうという全員を紹介しかねないと察知したわたしは、サラがほんの少し息を吸い込んだ隙をついて滑り込んだ。

い、一度サラの呼吸法は見ていたからね……!


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