ヴァンパイア†KISS
「カ~レン!さっきブルースとキスしてたでしょ!?遠目からだけど、確かにしてたわよねぇ!そのあとはよく見えなかったけど、やっぱりブルースがあの悪い男だったのぉ!?」

サ、サラ!!

なんてタイミングの悪い登場なの!?

サラは理事長がいるのにも構わずにまくしたてた。

「サ、サラ!ち、違うってば!キスなんてしてないよ!」

「あら?でもそのキスマークは捨てて置けないわねぇ」

ま、まずい!

弁解のしようがないじゃない!!

サラのばかぁ!!

一連の会話を聞いていた理事長は、ここで突然にっこりと微笑むと。

「そうか。ブルースくんが君の恋の相手とはね。彼はいい青年らしいね。いやぁ、妬けるなぁ」

そう言って、またホールの中央へと戻っていった。

な、なんか誤解されたんじゃ……!?

理事長は、ブルースのことをわたしに刻印を刻んだヴァンパイアだと思ったかもしれない。

いや……ヴァンパイアには違いないんだけど………。

でもデュオのことがばれなかっただけ、良かったのかな?

でも、ヴァンパイアを執拗に追っているかのような理事長のあの視線がとても気になった。

デュオのこと、理事長には絶対に言っちゃいけない。

なんとなくそんな気がした。

「カレン、よかったねぇ。恋する人が見つかって!」

サラ……人の気も知らないでぇ…。

あ~あ……。

サラののんきな笑顔がなんだか恨めしくて、わたしはため息をついた。









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