運命の恋~もしもあの時・・~
「言いたいことをきちんと伝えるってそこは私じゃないみたい。」

「そうかな?俺には今でもほいほい返してないか?」

あっ、そうかも。電話で話したりするのも楽しいし何より私笑ってる…。

「ハハハッ、田邉さんいじられキャラ的なところがあるものね。」

「そうかな?きっと俺と香織の相性が良いんだと思うぞ。俺は体もでかいし威圧感があるからな。」

「フフッ、確かに田邉さんと初めて会ったときは恐かったぁ!でも印象自体は柔らかいわよ。」

ついつい誉めてしまった…

「そうだろう、だから今からでも俺と結婚しよう。子どもも大切にするよ。お前の子だからな。」

「すぐに調子にのる!娘には本当の父親がいいわよ。」

そう自分にも言い聞かせる。
どんな父親でもきっといたほうが良いに違いない。

「フッ、刺さるな、その言葉。どうしたらいいんだろうな。クソっ…本当に出口が見えない。」

もうこれ以上この話をしないほうがいいだろうな。
いつも助けてくれる稗田さんいないし。

「さぁ、そろそろ出ましょう。美味しいかった。」

「そうだな。なぁ香織、今度ご飯作ってくれよ。結婚しようとは言わないからご飯ぐらいいいだろう。」

先に出ようとする私の腕を軽く掴む。
あまりに可哀想な顔をしてたから思わず頷いてしまった。

それから仕事の田邉さんとはお店の近くの駅で別れた。
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