運命の恋~もしもあの時・・~
「こっちに来る前、眠る時だったか同じように頭が痛くなったんだ。そして今のようなめまいなのかふわふわ浮いてしまいそうな感覚があったんだ。」

「えっ?じゃあ、戻れる?」

私はもしかすると戻れるかもしれない可能性に嬉しくなり涙が流れた。
その涙を愛おしそうに拭ってくれる。

「わからないんだ。でも、本当に戻れたら絶対に香織を泣かせない。ありがとう、香織。やっぱり香織はいい女だよ。こんな得体の知れない俺と仲良くしてくれて、俺のこと知らない香織も好きだよ。」

そんな事言うから涙が止まらなくなった。
本当にお別れ?
そっか、もし元に戻るならもう今いる田邉さんとはお別れなんだ。

「うん、うん、私もありがとう。こんな私でも自分を見つめ直すことができたし、自分のことが前より好きになれたよ。好きになってくれて、真っ直ぐそれを伝えてくれてありがとう。田邉さんと過ごした時間、楽しかったよ。」

どこまで私の声が聞こえてただろう?ちゃんと伝わったかな?
田邉さんはすーっと眠りについて、ぴくりとも動かなくなった。
< 292 / 316 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop