目覚めたら契約花嫁
「リンさん、16時でどうですか?あの海辺で待ってます。」

「分かりました。」

「あー、レアードさん。」

「何だ。」

「海辺に来てもいいですけど、話は2人だけですから。」

「………わかってる。」


ふふっ、譲歩してくれたんだ。

ユートがプールサイドから出て行く。

その後ろ姿を見つめながら思った。


私と同じでトリップした?

私だけではないって事?


ずっと私だけがトリップしたのだと思っていた。

きっとイメージガールをした私を見つけたのだろう。

名前も日本人ぽいし、ユートは気付いたんだ。

ユートはいつから?

見た目は三十代ってとこ?


「リン?」


呼ばれた名前にロイを見た。

心配そうな表情をしている。


「リン。俺の前から消えるなよ。」

「ロイ?」

「消えないでくれ。」


ロイの願いが込められていた。

今更消える?

ありえない。


「ロイの側にいるよ、ずっと。」


近づくロイの顔に目を閉じた。
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