目覚めたら契約花嫁
海辺のレストランに到着した私達は手を繋いで店内へ入る。

自然と繋がれた手。

誰から見ても恋人だろう。


「リン、海は来たことあるか?」

「あるよ、日本にもあったし。」

「そうか。」

「日本も海に囲まれた島だから。シャノワールと同じだね。」


ロイに微笑めば、嬉しそうに顔を弛めるロイ。


「ロイ、本当にありがとう。私、凄く幸せだよ。」


私の本音だ。

凄く幸せだ。


「俺も。リンと出逢えて幸せだ。」


ロイの手が私の手を取り、左手の薬指にキスを落とした。

その行動にロイを見つめる。


「結婚式をしよう。この海辺の教会でやらないか?」

「えっ?」


突然の言葉に唖然とロイを見る。


「下見をして行かないか?」

「うん、いいよ。」

「早めに結婚式をしたい。」

「うん。」


契約から始まった花嫁だけど、今では本物の花嫁へと気持ちが変化していた。


「リン、戻ったら……指輪も選ぼう。」

「うん。」


ロイとの結婚を実感し始めた。
< 90 / 146 >

この作品をシェア

pagetop