目覚めたら契約花嫁
シャノワールの海を眺める。


「ロイの家族って?」


ふいに浜辺で遊ぶ親子を見て思った。

結婚するのに、私はロイの家族を見たことがない。


「事故で一年前に亡くなったんだ。」

「えっ?」


思わぬ言葉にロイを見れば、眉を下げたロイと目が合った。


「ごめんなさい、私、知らなくて。」

「いや。リンの家族は?」

「いるよ。大学から一人暮らしだけど、田舎で元気に暮らしてる。」


多分、もう会えないだろうけど。

私はどんな顔をしていたのだろうか?

不意にロイの手が私の頬を撫で始めた。


「俺が家族になる。親にはなれないが、俺とリンは家族になれるだろ?」

「ロイ………。」

「今度、祖父母に会いに行こう。それにダヴィもケリーも家族も同然だから。」

「うん。」

「リン、幸せにしてやる。」


ロイの言葉が嬉しすぎて………泣きそうになる。

こんな言葉を言われたのは初めてだ。


「ロイ、ありがとう。」


この言葉しか出てこなかった。
< 91 / 146 >

この作品をシェア

pagetop