桜の花が散る頃に
「…なんで僕まで大丸を探さなければならないのかを10文字以内で簡潔に答えよ、秋人。」

「学ちんカタブツー。せっかく人気モデルのユキちゃんも一緒に探すって言ってるんだから♡」

「誰も呼んでねえよ!!帰れよお前ら!!」

何故いつもこうなる。

ここ最近結城は仕事の無い日は毎日学校に来るようになり、気が付けばいつの間にか輪の中に当たり前にいる。

ぶりっ子ユキちゃんは俺達の前ではすっかりぶりっ子が取れて、夏実と俺の二枚盾を行使して国見達三人とも一応のところの和解を迎えた。

結城は夏実と仲良くなってからというもの、祥子・夏実と名前で呼び合うばかりか、例の写真についてはネットに載せられたら載せられたで、グラビア路線に変更でもしようかなとか言い出す始末で、良くも悪くも前に進んでいる。

本人曰く、
「ぶりっ子?そんなのキャラに決まってるじゃん。あざとい方が好きでしょ?男って。」
という事らしいが、俺は今の結城の方が断然良いと思う。

とまあ結城の話は置いておいて。



大丸 虎轍。

俺は一年の時大丸と同じクラスで、あまり周りと馴れ合わない奴だったから、俺は他の奴等よりは大丸と親しい方だと勝手に思っている。

中学生の時に町を束ねていたグループの頭とタイマン張って勝ったとか、とにかく喧嘩が強い癖にどのグループにも入ってないだとか、噂は絶えない。

そんな大丸の通り名が、“虎丸”。
ここらで大丸を探す時は、虎丸って聞いた方が早いし、俺も一年の時そう呼んでいた。

しかし一年生も終わりの三月の初め、冬休み中にパンピーをボコボコにして謹慎処分に。
そのまま学校には来てない、といったところ。



そんな訳で見た感じガラの悪そうな奴に片っ端から虎丸を見てないか聞こうと思ったんだが…


「バッカじゃないの秋人君!あんな怖そうな人に話しかけるとか私無理だからね!?」

「ぼ、僕も賛成し兼ねるな…見た目と手の出る早さは比例するという実験結果が…」


ほんとになんでこいつら来たんや。
そもそも最初から俺一人で行くって言ったのに…

「二人とも、人を見た目で判断しちゃダメさね。まあ怖いなら無理強いはしない!私と秋人で聞いてくるよ!」

原因はこの人。
私も探すー!と夏実が言い出さなければついてこなかったのに。
学も結城もすっかり夏実のポチミケと化してる。

「む、無理じゃないもん!夏実、ううで組も!」

「僕は、やっぱり帰る!!」

あー、めんどくさい。
でもまー…夏実が楽しそうだし、俺も楽しいから、まあいいか。
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