クールな弁護士の一途な熱情



こうしてまた静とふたりで花火を見る日が来るなんて、夢にも思わなかった。

嬉しい。幸せ。

胸に込み上げる思いを噛み締めて、ようやく気づく。



今、この心が彼に惹かれていること。



過去の熱に浮かされているのではない。

現実から逃げているわけでもない。

今の彼の優しさやあたたかさに、今の私が惹かれている。



静は手を伸ばし私の頬にそっと添えた。

ドキ、とまた胸が音を立てる。

けれどまっすぐこちらを見つめるその目に、今度は目をそらせない。

そして少しずつ、ゆっくりと近づくと静は唇を重ねた。



ドン、ドン、と打ち上がる花火の下で交わすキスは、あの頃の短いキスとは違う。

吸い付き、絡み合う、深いキス。



重なっては離れて、また重なってをしばらく繰り返し、吐息が漏れ唇は離れた。

溶けてしまいそうなその口づけに体から力が抜けてしまいそう。

そんな私の体を、静はぎゅっと抱きしめる。



「果穂……好きだよ。俺はずっと、あの夏を忘れたことなんてなかった」



その言葉を示すように、抱きしめる腕にはぐっと力を込められた。


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