クールな弁護士の一途な熱情
「どうかしら……あ、でも伊勢崎先生は多いかもしれないわね。特にうちは相談無料だし」
その言葉の意味がわからず首をかしげると、すかさず壇さんが言葉を付け足す。
「せっかくタダで話聞いてもらえるなら、女よりイケメンのほうがいいでしょ」
「あー……そういうわけですね」
この弁護士事務所は、初回2時間までなら相談料無料。
そこで同性である花村さんたちに聞いてもらいたい人もいれば、せっかくならイケメンをと指定する人もいるのだろう。
確かに、そりゃあモテるよね。
顔立ちは整っているし、物腰も柔らかい。それに加え事務所を持つ弁護士となれば。
高校時代もモテていたけど、その人気は今でも健在ってことだ。
「伊勢崎くん、あんなにモテるのになんでまだ独身なのかしら。ここ何年も彼女もいないらしいし」
「そうなんですか?」
「仕事も忙しいし、きっと余裕ないのよ。それより都子も彼氏いないし、伊勢崎先生のことより自分の心配したほうがいいんじゃない?」
笑顔で痛いところを突くように言う花村さんに、壇さんは「うるさい」と口を尖らせた。
静、独身だろうとは思っていたけど、彼女もいないんだ。しかも何年も。
あれだけモテればよりどりみどりだと思うんだけど……。
いや、実は彼女という存在ではないだけで遊び相手はいっぱいいるとか?
いやいや、でもそれって弁護士としてどうなの?
それか本当に、ただ単に仕事が忙しくて余裕がないだけ……。
そんなことを考えながら事務作業に打ち込んでいると、気づけば時計は11時を少し過ぎてしまっていた。
はっ、まずい。お茶出ししなきゃ。
急ぎ足で給湯室へ向かいコーヒーを淹れて、相談室へ向かう。