恋するリゾート

     エレベーターを降りてつれてこられたのは 信君の部屋だった

  
    信が 扉を開けると 

    つぐみの従業員専用の部屋とは

    比べ物にならない空間に


   「 わー 広いね さすが信君 お金持ちだね・・・・・」


   「何言ってるんだよ 広いといっても 


    今回は リビングは共用で

    皆も 一緒だから 合宿みたいなもんだ」

      

    「皆って  すずさんたちも?」


     「いや 悠人と遥斗 樹だけ」


     いざ 二人になると言葉が続かない

      

      信は ぽつりと

      「聞きたいことがあるんだ」

      「いや  ・・・いい」
       


     「 何言ってるんだ・・・・」


      と自分で突っ込みを入れる



      「なに???信君」



      信は きたいことがありすぎて


      どれから聞こうかと 考えていると


     ドンドンドン 


     「しん~いないの??? しん~」


      扉の外からすずの声がする

    
     「どこまでも めんどくさい奴だな・・・・・・」


     そう言うと つぐみの手をとり 


     信はリビングの奥にある

     自分専用の部屋につぐみを連れて行った。


    「 ここなら あいつが入ってこられない」


    「皆探しているけど いいの?」


     「ああ・・・・・・」


     気が付くと信に

     手をつないだまま

     抱き寄せられた形になり


     距離が近ずいたことで


     どきどきがとまらない 



     信は ベットに歩いていくと

     つぐみを座らせ 自分も横に座る 



     「なあ 何で 黙って消えたんだ


      彼氏にだけは居場所知らせてたのか?」


      信が 床を見たまま 


      抑揚のない声で つぐみに問いかけてきた


     「パパが  何があっても信君のパパは
    
      私たちを助けてくれようとするはずだから

      黙って消えようって・・・・・

      借金が 結構な額だから

      もしかしたら信君の代まで迷惑 


      かけるからって・・・・・・」

      消え入るように 小さな声だったつぐみが

      
      「 でもね」 

       つぐみは暗くならないように精一杯明るく

      「さすが おじいちゃんだよ


       会社は おじさんたちに譲っていたんだけど

       蔵と蔵の中のものは

       お母さんの名義にしていて

       何かあった時に 蔵のカギを

       お母さんに 渡すように弁護士さんに

       頼んでいて・・・・

       弁護士さんが 探して蔵のカギを

       渡しに 来てくれたの


        それでね
     
       蔵を明けたら 見事な骨董品の山で

       そのおかげで パパが一生かかっても


        返せないはずだった借金が

        1/3に減ったんだよ・・・・・
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