トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
床にカバンを放り投げると、ベッドに横になって目をつぶると中学時代の記憶が蘇ってきた。

いつからかあたしのあだ名は『正義マン』になっていた。

自分の意見をただ口にしただけなのに、クラスメイト達はあたしをそう呼び、クラスから排除しようとした。

間違ったことなどしていない。

『カンニングしたいよねぇ。そしたら100点取れるかも?』

とクラスメイトが話しているのを聞いて、カンニングを企てようとしている人がいますと校長先生に名指しで報告しただけ。

『あの二人、付き合ってるらしいよ』

と風の噂で聞けば二人を追いかけ、不純異性交遊と思われる証拠を集めて二人の家のポストに写真などを投函したりした。

誰かの悪口を言っている人を見つければ、悪口を言っていた人にとことん注意をし、悪口を言われていた子にどんな悪口を言われていたのかを詳細に話した。

体育祭や文化祭で手を抜いた人に点数をつけて、一覧表にまとめて教室の黒板に貼ったりもした。



ただ、それだけのこと。あたしが良かれとしてしていたことをクラスメイトは責めた。

『悪意がないからって何をしても許されるわけないでしょ?杉原さんって、罪の自覚がないから厄介なの』

休み時間、あたしはクラス中からそう断罪された。

あたしは何も悪いことなどしていないのに。それなのに……。

『杉原さんってさ、ぱっと見可愛いし話さなきゃわかんないけど……天使の仮面をかぶった悪魔だよね』

『いいと思ってすることが全部裏目に出て、クラスの関係とか無自覚にぐちゃぐちゃにするしマジ厄介』

あたしは裏でそう噂されていた。

あっという間にクラスに居場所を無くしてしまったあたしは心の中でこうも考えていた。

間違っているのはあたしではなくクラスメイト達なのだと。

小学校の時も同じ理由で嫌われてしまった。

あたしは悪いことなどしていない。していないのに、どうして?
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