トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
両親はあたしが中学生の時に離婚した。

あたしが物心つくまでは両親の関係は良好だったと親戚のおばさんが話しているのを聞いたことがある。

『あんなに仲良しの夫婦だったのに残念ね。梨沙ちゃん……可哀想に』

と親戚たちが困惑したように話していたのも覚えている。

でも、あたしは可哀想ではなかった。だって、心の中で両親が離婚することを望んでいたから。

父と母とあたし、3人の暮らしにあたしは妙な違和感を感じていた。

離婚する前までの両親は仲が良く、あたしが小学校へ行っている間にデートまでするぐらいだった。

いってらっしゃいのハグと、おかえりなさいのキス。

両親の行為に小学生ながらあたしは嫌悪感を抱いていた。

だから、あたしは二人の秘密を暴露することにした。

『お父さん、浮気してるよね?会社の若い女の子と腕を組んで歩いてるのを見たの。デレデレして鼻の下伸ばしてホテルに入ったよね?』

『お父さん聞いて。お母さん、お父さんに黙って高いバッグ買ったよ。クローゼットの中の一番下の段にはへそくりもしてる。離婚した後に男の人とのデートで使うってお母さんが言ってた』

あたしが二人に話すと、必ずその日の夜は寝室で長い間話し合いが行われた。

あの日もだ……。両親が離婚協議を進めていたあの日、母は父に『離婚したくない』とすがりついて泣いていた。

父も同じように『俺だってできるならばしたくない』と苦しそうに話していた。

だからあたしは二人が話し合っている最中、割り込みこう言った。

『お母さんが離婚したくない理由は、お金でしょ?うちでお茶してた時、お母さん友達に言ってたじゃない。『もう愛情はない。本当はすぐにでも離婚したいけどお金の為に我慢する』って』

父はその言葉に目をむいていた。

『お父さんだって、若い女の人の方がいいってよく言ってたじゃない』

母も信じられないという表情のあと、俯いた。

結局、その翌日離婚届けは役所に出され、両親の離婚は成立した。

父が家を出て、母との二人暮らしが始まった。

母はあたしをはれもののように扱った。
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