【完】俺の隣にいてほしい。
まさか、椿くんも私と同じようなことを思ってたなんて。


どうしよう。ちょっと嬉しいな。


「わ、私も……帰りたくなくなってきちゃった」


なんて、思わず正直な気持ちを口に出したら、椿くんが驚いた顔でこちらを見た。


「えっ?」


そして、ふいに私の手首をギュッと握ると、そのままじっと顔を覗き込んできて。


「そんなこと言ったらマジで俺、帰さないけど」


「……っ」


思いがけないことを言われたので、心臓がドクンと思いきり飛び跳ねた。


ちょ、ちょっと待って。


なんか今、椿くん、とんでもないことを……。


だけど、私がそこでめちゃくちゃ動揺して真っ赤になっていたら、そんな私を見て椿くんが突如クスクスと笑いだした。


「……なんてな。冗談だよ」


その言葉で一気に体の力が抜ける。


なんだ、ビックリした。私ったら、なに真に受けちゃってるんだろう。


でも、今のはさすがに心臓に悪いよ。


「それじゃ、そろそろ帰るか。送ってく」


椿くんがそう言ってその場に立ち上がり、手を差し出す。


私は言われるがまま彼の手を取った。



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