【完】俺の隣にいてほしい。
「それじゃ隆太、俺帰るわ。またな」


俺がそう言って声をかけると、親友の隆太がこちらを振り返る。


そして、いつものようにドヤ顔で悔しそうに言った。


「うわっ、椿お前、また一人でさっさと帰るつもりか!」


「うん。待ち合わせしてるし」


「くっそ~! 今日もあの花園の天使ちゃんとデートかよ!」


こいつ、隆太はツンツン頭で見た目は派手だし、うるさいところもあるけど、中身は情に厚くてめちゃくちゃいい奴だ。


実は俺とこいつは小学校の頃からの幼なじみで、高校までずっと一緒だったりする。


「そうだよ」


俺がしれっとした顔で頷くと、隆太は今度は俺の腕をバシバシと叩いてくる。


「このやろ~! いいよなぁ、毎日ラブラブしやがって! 今度俺にも花園の女子紹介しろよな!」


「はは、そのうちな」


そんな隆太に笑いながら手を振り、教室をあとにした。


そのまま学校を出て、まっすぐ花園学園へと向かう。


花園はうちの学校から500メートルほどしか離れていないから、少し歩けばすぐだ。


いつものように校門の前で心音が出てくるのを待っていたら、今日もまたたくさんの花園の女子生徒たちに、ジロジロ珍しいものを見るような目で見られた。


若干気まずい思いをしながら待つこと数分。


「椿くん、お待たせ」



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