寂しさは他で埋めるから
3回乗り換えて、1時間以上かかるようなお店に入店が決まった時、前いたお店の方々からは猛反対を受けた。
そんな遠くにわざわざ行くくらいならうちにいればいいじゃないか、と特に送迎を担ってくれていたボーイの男性から何度も言われた。

けれど、出入り口に貼ってある写メ日記の催促だとか本指名のリストだとか「意識改革」の額縁に耐えられなかった。
一生続ける仕事でもないはずなのにそこまで本気になって極め続けて万が一抜けられなくなってしまったら。その後の人生ってどうなるのだろう。

どっぷりと風俗に浸かってしまうことが怖かった。
人気もテクニックも何も要らなかった。

大切にされたいだとか持ち上げられたいだとか、そんなとっくに諦めていたことを今さら風俗という世界で満たそうと思えるほど馬鹿ではなかった。
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