虹色シンデレラ
「なあ、咲良」

一旦手を止めた俺は、向き直った。

「何よ」

めんどくさそうに俺を見た咲良。


「悪いけれど泊めてはやれない」

「虹子さんが怖いの?」

「馬鹿。そんなんじゃない」


咲良だって分かっているはず。

ここに泊める訳にはいかない。

きっと、ふざけて言っているんだ。

この時の俺は、そう信じていた。


「ここは哲翔だけの家じゃなかったはずよ。私にだって思い出もあるし、気持ちを整理する時間だって必要なのよ」

ごもっとも。

「でも、ダメだ」

俺だけじゃない、咲良のためにもやめた方がいい。

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