虹色シンデレラ
大学の資料や読み終わった本。

2人で買ったCDや写真集。

お揃いのジムウェア。

すべてが、ここで過ごした時間の長さを感じさせる。


「これは全部捨てるの?」

段ボールいっぱいの本を見つめる咲良。

「いや、家に持って帰るよ」

小さい頃から本が好きな俺は、読み終わった本を捨てることができない。

「そのうち本で部屋が埋め尽くされるわ」と、よく母さんに言われていたっけ。


「相変わらず、本は、捨てられないのね」
なんだか含みのある言い方。

「いいから手を動かせよ。夜までに終わらないぞ」

「かまわないわ」

咲良・・・

「がんばって片付けて、夜は食事に出よう。咲良の好きなものをご馳走するよ」

「最後の晩餐?」

はあぁー。
もう、ため息しか出ない。


「咲良」

俺は近くのソファーに腰掛けると、そこに座ってと向かいの席を指さした。

片付けの手を止めてソファーに座る咲良。
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