虹色シンデレラ
祐介くんの車で高宮邸に戻ると、玄関先に菅原さんが待っていた。


「お帰りなさいませ」

「ただいま。心配かけてごめんなさい」

「いえ。ご無事で安心いたしました」


どうやら哲翔さんはまだ帰宅していないようで、お母様も外出中。

私は少し祐介くんと話をした後自分の部屋に戻った。



「ご心配しました」

普段は愚痴なんて言うことのない乃梨子さんが珍しく口にした。

「ごめんなさい」

「哲翔様から、『虹子は悪くないから、怒るんじゃない』と言われております」

「そう、哲翔さんがそんなことを」

「はい。『今、自分は動けない。不本意だけれど、祐介に頼んであるから連絡を取ってくれ』と、電話がありました」

そうなんだ。


苦しくてつらいのは、哲翔さんも一緒なのね。
< 345 / 579 >

この作品をシェア

pagetop