虹色シンデレラ
「哲翔は今日も外出か?」

お父様の渋い顔。

「きっと、用事があるんですよ」

お母様がかばうけれど、お父様不機嫌そう。


いくら忙しくたって、たまには顔くらい見せないと。

ここ10日ほどは家で食事をする姿を見ていない気がする。


「祐介、今日は予定があるか?」

唐突に、お父様が声をかけた。

「いいえ。これと言ってはありません」

「そうか、じゃあついてこい。昼食に財界の大物のとの個人的な食事会がある。きっと、勉強になるぞ」

「はい。ありがとうございます」

うれしそうな祐介くん。


あと一月もすれば、祐介くんも哲翔もおじいさまの会社、高宮コンツェルンに入社が決まっている。

きっと、将来は二人が経営陣に名を連ねることになる。

それを見越してだろうか、最近お父様は祐介くんを仕事に連れて行くことが多くなった。

本当なら、二人とも同行させたいんだろうけれど・・・顔も見せない哲翔ではどうしようもない。
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