命の花が散る頃に。
僕は父の手を振り払い、咳き込みながら立ち上がった。息を整えながら父を睨みつける。

「死神を見下すなんて許しません!僕は死神が大好きなんです!ずっと側にいてくれたハヤトもチサキも…皆、大好きなんです!」

そう言うと、2人は顔を赤くした。僕の刀と父の剣が交わる音がする。

「…死神の仕事は大変です。正直に言って辛いです!でも、成仏出来ずに困っている霊を1人でも救ってあげたい!そう思うのはいけない事なのですか!?」

父とぶつかりながら叫ぶ。すると、父は「全く理解出来んな」と吐き捨てた。

「理解出来なくていいです。僕は自分の意志で死神になった。自分の意志で死神を続けている。それは死神の仕事が楽しいからです。僕はもうあなたの後継ぎはしない!ずっと死神をするんだっ!!」

僕は気づいたら敬語が抜けていた。僕の顔から血の気が引くのが分かる。僕の父と母に敬語を使うのが鉄則だから。

「…親に向かってその言葉遣いは何だ!」

次の瞬間、僕の体から力が抜け、床に倒れ込んだ。意識はあるものの体が全く動かない。声も全く出せなかった。まるで金縛りにあっているようだ。

「アルト!…もう止めてください!僕の友達を…大切な人をそれ以上傷つけないで…」

チサキが泣きながら言った。父は「関係ない奴はしゃべるな」とチサキに剣を向けた。

「関係あります!」
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