貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
ふたりで分けて背負った荷物は重たかったが、それだけに達成感がある。

「これをよく洗って再生すれば、お父さまたちの素敵な着物になるわ。お正月までに間に合わせなくちゃ」

「姫さまは、本当にすごいです。あんなに怖い女商人にも負けていないんですもの」

「あはは、迫力があるだけで怖い人じゃないわ。あの人が言ったみたいに私も本当はあっちの方が向いているのね」


クスクス笑いながら、意気揚々と角を曲がった時だった。

ドンッと、ぶつかったのは男二人。

その反動で「あっ」と小鞠は転んで倒れた。

「小鞠! 大丈夫?」

すぐさま駆け寄って小鞠を助けると、花菜はキッと男を睨んだ。

酒を飲んでいるのかもしれない。男はどちらも顔を赤くして謝ることもなくニヤニヤと見下ろしている。
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