貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
***

ゆったりと進む牛車には、屋形などに八つの葉の文様がある。
そしてその文様が大きいことから、中に乗っている人々が高貴な方々だとわかる八葉車(はちようぐるま)だった。

中にいるのは東宮の義母兄であり臣籍降下された元親王、源李悠(みなもとのりゆう)と頭中将、そして藤原蒼絃の三人。

夜明けまで続いた宮中での会議の帰り道だった。

「蒼絃、何か策はないのか」

今、宮中では、女官の間で咳と高熱が出るという病が流行り始めている。

正月は宮中の行事が目白押しだ。
もしこのままの勢いで女官たちが倒れ宿下がりが続くことになると、それらの行事が立ちゆかなくなってくる。

その対策を任されたのが、若い彼らだった。
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