貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

「はい。是非ともどちらかで働きたいです!」

ほんの少しだけ傷ついた気もするが、元気いっぱいに答えた。

秘書っていうガラじゃない。
頭を悩ませるより体を動かしたほうが自分には合っている。適材適所、夢は夢として心で温めておくことにした。

「ほんとうにありがとうございました」
邸の前で蒼絃とは別れた。

「姫さま、女官になるのですか?」

「なりたいわ! でも、お母さまたちにはまだ言っちゃだめよ。今のうちから反対されたら困るから」

前々から機会があれば女官になりたいと言ってはいるが、花菜の母はどちらかというと反対だった。
女官になったら奥ゆかしさも忘れ、すれっからしになるという。

とはいえ大反対ということでもないので、説得すれば最後は折れてくれると思っているが、それにしても言うのはまだ早い。

両親の説得は、本当に応募する時でいいとして、問題は衣装の準備だろう。
女官の制服、十二単を用意しなければならない。

十二単には沢山の衣が必要だ。
上から、唐衣(からぎぬ)・表着(うはぎ) ・打衣(うちぎぬ)・五衣(いつつぎぬ)・単衣(ひとえ)、長袴(ながばかま)・裳(も)。
それらを合わせて十二単となる。
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